動物の走り方考察

最も速く走る動物はチーターです。時速110km。100m競争に出ればタイムはおよそ3.5秒、スパイクとなる引っ込まない爪を持ち、どんなレーシングカーよりも加速力があり、猛スピードで走っていてもほとんどその場で止まれるほどの制動力も兼ね備えています。その走り方は、

前足で着地すると同時に背を丸めて力をため、後ろ足を着地点よりも前へ運んで次のジャンプの準備をする
両後ろ足で地面を蹴ると同時に背を伸ばして大きく前へジャンプ
@
A

というように歩幅を広げるため背の曲げ伸ばしを使っています。獲物を狩るための短距離スピード型。イヌ科動物もこのように走ります。ただ犬の脊椎はネコ科ほど柔軟ではないのでいくらか効率は悪くなっています。

犬科で一番速いのはグレイハウンドで、時速60km、ドッグレースも行われています。長い四肢に小さい頭、サラブレッドといいチーターといい四足動物が速く走るためにはこれが合理的な形態なのでしょう。ちなみにグレイとはサクソン語で美を意味し、グレイハウンド・・美しい猟犬となります。

発酵槽という草類を消化するための液体とガスで満たされた臓器が、脊椎に吊られた構造になっているからです。そのため歩幅を大きくとることができません。そこで彼らは足を長くすることでイヌ科ネコ科の肉食動物に対抗しました。草食動物の四肢は体と比較してかなり長く、足の構造も人間でいうつま先立ちのイヌ科ネコ科に対して、トウシューズを履いたバレリーナのように指先だけを地面に接するようにできています。

そのうち、独特の足運びを身につけたものも現れました。右前足と右後ろ足を同時に進め、次に左前足・後ろ足を同時に進める側対歩と呼ばれる移動の仕方で、ゾウ・ラクダ・キリンなどがこのように動きます。
これはイヌ科ネコ科動物たちが両前足・両後ろ足をそれぞれ同時に動かし、地面を蹴る力を集中させて前への推進力を高めているのとよく似た原理です。側対歩は左右のぶれが大きく歩幅も稼げないのでスピードはでませんが、エネルギー効率がいいので疲れず長距離を移動できるのです。
余談ですが、モンゴル帝国を築いたチンギス・ハーンはこの側対歩の有効性に着目しました。馬の片側の前・後ろ足を革ベルトで2〜3年つないだままにし、側対歩にさせようと試みたのです。ヨーロッパ騎士のように騎馬突撃をせず、遠巻きに弓矢で戦うモンゴルの戦法では短距離のスピードはさして重要ではありませんでした。さらに騎兵1人が7〜8頭の代え馬を持ち、人が乗らずとも主人の後を追うようにも訓練しています。これが少数民族が短期間に長距離遠征ができた理由なのです。
一方、馬をはじめとする草食動物は背を屈伸せず、一直線の脊椎をほとんど動かさないように走ります。
はっこうそう
動物たちは、生き残るために早く走るという問題を食性からくる体の構造に左右されながらも工夫を重ね、走り方や足の形ひいては全体の様相にもからめて解決し進化してきたという点がおもしろいです。